売れば売るほど赤字!?変動費と固定費のCVP分析で丸わかり!|【実話】倒産寸前からの企業再生

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成長期:堅調な業績推移
混乱期:業績不振から倒産寸前
再生期:企業再生、V字回復

売れば売るほど赤字!?変動費と固定費のCVP分析で丸わかり!|【実話】倒産寸前からの企業再生

みなさんはどうやって事業の採算性を見ていますか?

一番有名なのは粗利率や営業利益率でしょうか。そして競合他社や業界平均などから何%を目指すかを大体設定されているのではないでしょうか。
新規事業などでは利益率よりは単年黒字化までの期間や累積赤字の解消までの期間などで採算性を見るのもよく使われる手法です。

当社では商品販売事業という最も一般的な商流の事業がありました。
新規事業であっため、毎月赤字額が1,000万円はゆうに超えていました。しかし、この赤字は「人件費が大部分を占め、売上10億円を越してくると黒字になる」というのが通説でした。
当社では精神論的な事業の進め方が多く、売上至上主義が根強かったこともこのような通説を後押しした原因です。

経営層も含めてその通説を信じ、自ら旗振り役として進めていました。
グループ経営の辛いところで、早期の結果を求められるということで焦りもあったのかと思います。

しかし、社長の参謀役の経営企画部としては、社長に右に倣えでは失格です。傍から見てもとてもその事業がうまくいくとは思えませんでした。

そこで何度も慎重論を唱えていたのですが、現場としてはアクセルを踏んで事業を進めている中、慎重論を唱えられると事業に水を差す、ということで聞く耳は持たれませんでした。
事業の責任者としても部下の士気を下げかねないその慎重論はやはり到底受け入れがたいものだったと思います。
私が逆の立場であってもやはり疑心暗鬼を生むようなものは受け入れられなかったと思います。

売るほどに赤字!?変動比率が100%超え!

単なる慎重論による説得は難しかったので、私は数字で示すことにしました。

次の金額は、当時実際に1商品あたりにかかっていた費用です。

4,000円の商品を1個売るために、
仕入 : 2,800円
送料 : 500円
決済手数料 : 160円
倉庫費用 : 150円
梱包、出荷費用 : 50円
1受注のコールセンター費用 : 100円
広告(CPA) : 1,200円
人件費 : 300円
システム費 : 400円

このような収益構造でした。

4,000円のものを売るのに5,660円かかっています。
しかし、それは別記事でも語っているように、管理会計を導入したため社内でも周知の事実でした。
1個売る度に1,660円の赤字というのはわかっていて、それでも売上10億円を超せば利益が出るから、それまでがんばれ!ということだったのです。

確かに間違いではありません。ビジネスというものは売れれば売れるほど利益が出るものです。
それは人件費などの固定費を粗利がどんどんカバーしていくためです。

しかし、上記の収益構造で何がおかしいかわかりますか?
変動費が100%を超えているんです。上記で太字にしている項目が変動費です。
広告費は準変動費とも言われますが、当社の商品販売の仕組み上は変動費だったので変動費に入れています。そうすると変動費は4,960円(変動比率124%)です。

つまり売れば売るほど赤字です。
もう一度言いますが、売れば売るほど利益が出るのは限界利益が固定費をカバーするからです。そのためには変動費が100%以下ということが絶対条件です。そうでなければ損益分岐点を超えることはありません。

当社の変動比率124%という数字は、売上が10億円だろうが、100億円だろうが利益は出ません。どこまで売ろうが損益分岐点に至ることはないのです。

これでは、いくらがむしゃらに働いても報われることのない事業を進めていることになります。むしろがむしゃらに働くと残業代などでさらに収益は悪化します。

当時を振り返って

論理的に慎重論を説いたことで、変動費を如何に下げながら事業を進めるかという議論をすることに成功しました。しかし、それでも今振り返ると、方向修正は物足りなかったと思います。

このような事態になるには悪い環境が重なっていたこともありました。当時は幸か不幸か金のなる木の事業、利益頭の事業があったため、完全に売上主義でありました。さらに先に述べたとおりグループ経営の常で成果を短期的に求められていたため走るしかなかったなどの要因もありました。

こういった中で慎重論を唱えるのは至難の業ではありますが、経営企画部は冷静に提案することも仕事の1つかと思います。

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