
【実践テク】自社でできる経営課題の抽出!(1/3)
みなさんは経営課題を纏めようとして纏まりきらなかったことはありませんか。
あまりにも課題が多くて纏まらなかったり、手当たり次第に課題を解決しようとしてどれも中途半端だったり、そもそも経営課題の出し方がわからないこともあるかと思います。
さらには経営課題を抽出したとしても、本当に全て洗い出せたか不安になることもあるでしょう。
私自身、経営企画部に所属した時はこの経営課題の抽出に非常に苦労した覚えがあります。1~2ヶ月もの間、経営課題の抽出のためのブレストと纏めを繰り返し、あーでもないこーでもないと議論していたことがあります。全力を出し切った後、経営陣にダメ出しを食らった時の絶望感は今でも思い出します。当時を思い返すと本当に脳を酷使していたことを覚えています。寝ても覚めても経営課題を考えていました。
10年以上勤めて熟知しているはずの会社の経営課題の抽出でさえ、これほど苦労します。ここでは、今まさに経営課題抽出に取り組んでいる方々に向けて、経営課題の抽出方法をお教えします。
<実際の完成図>
経営課題抽出までの道のり
まずは簡単に経営課題抽出までの道のりを整理しておきます。
- 0.ブレストの準備
- 1.経営課題のブレスト
- 2.グルーピング
- 3.グルーピングの評価
- 4.1~3の繰り返し
- 5.優先順位付け
- 6.経営陣との課題認識すり合わせ
1~5は経営企画部で実施することを想定しています。しかし、経営企画部主導で纏めた後に6を実施した時、私みたいに経営陣からちゃぶ台返しを食らうことがあるので1から経営陣を交えてもいいかと思います。ただ、あまりオススメはしません。
なぜなら、このやり方はワンマン経営にありがちで、「社長の言う経営課題しか取り組まない」と宣言しているようなものです。本来、経営企画部としては、社長を牽制することも必要であるため、まずは経営陣を交えずに経営企画部で結論を出すべきと考えます。
ちゃぶ台返しがたとえあろうとも、経営企画部で結論を出しておくと、様々なことに主体的に取り組むことができます。
0.まずは経営課題のブレスト準備
まずはブレストしましょう。ブレストの方法はいろんな方法が研究されていますが、私のオススメは単純です。ホワイトボードに書きまくってください。これが単純かつ最強の方法です。
ホワイトボードは大きければ大きいほど、多ければ多いほどいいです。アイデアに制限をつけてはいけません。デジタルでしようとすると、どうしてもきれい作ろうという意識が生まれます。一覧性にも限度があります。
アイデア出しは野生の感覚のままに、書き出すことが必要です。そのためにはデジタルではなく、アナログが最適です。
もし、ホワイトボードがないという会社はこの機会に買うことをおすすめしますが、とりあえず今回だけということであれば、イーゼルパッドがコスパ最高です。
あと最近はマグネットタイプの省スペースホワイトボードもコスパ最高です。ただ少し小さいので何個か買ってください。
1.準備ができれば経営課題のブレスト 質より量優先のアイデア出し!
準備ができれば次はブレストです。一人でやる場合でも、数人でやる場合でも、まずは個人でがむしゃらにホワイトボードに課題を書いて下さい。字をきれいに書こうとか、言葉遣いを丁寧にとか、経験が浅いからなどという遠慮の必要はありません。
思いつくまま、本能のまま、一心不乱に書いてください。愚痴が混ざってもかまいません。私の場合は「朝令暮改で求心力がない」といった経営批判のような内容も書きました。しかし、これは私自身真剣にそう思ったから書きました。
遠慮していなければ、一人あたり100個ぐらいすぐ書けると思います。もし書けないとすればどこか遠慮をしているか、かっこ良く書こうとしているかもしれません。
実際の作業図
<ポイント1>漏れ無く、ダブリなくは理想だけど、こだわらない!
よくフレームワークで言われることにMECE(漏れ無くダブリなく)と言われることがあります。マッキンゼーではよく使われているようですが、私はこれを厳密にしようとしすぎてハマりました。
確かに漏れ無く、ダブリなくは理想的なのですが、これにこだわる必要はありません。経営課題をMECEにすることは難しいです。なぜなら1つの課題が様々な事象に絡むことがあるからです。
例えば、報連相がうまくいかないのはコミュニケーション不足が原因です。業績が悪いのもコミュニケーション不足が起因しているかもしれません。業務が非効率といったこともコミュニケーション不足が少なからず影響すると思います。このようにダブりは必ず出ますので、ここはダブリを気にせず、とにかく漏れが無いことに注力し、数を出せるようにしましょう。
<ポイント2>事象と課題と対策は使い分ける
課題を洗い出していると事象と課題と対策がごちゃまぜになります。例えば、「社内に不公平感がある」、「評価基準が曖昧で、不公平感がある。モチベーションもあがらない」、「人事制度を刷新しなければならない」、などこれらは実際経営課題としてよく挙がる項目です。しかし、これらは本当に経営課題でしょうか。
整理するとこのようになります。
・事象 : 社内に不公平感がある。
・課題 : 評価基準が曖昧で、不公平感がある。モチベーションがあがらない。
・対策 : 人事制度を刷新しなければならない。
これらを使い分けないと整理がつきません。対策から入ってしまう方は手段が目的化してしまっている可能性があります。対策が出た場合、「それはなぜそう思ったの?」と深堀して聞いていきましょう。それが課題につながるはずです。
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